雪の降る街角が楽しかったあの頃をもう一度・・・

　1980年代後半から1990年代初頭、バブル景気の絶頂期に日本の街角を彩ったクリスマス。
12月の冷たい風が街を包む頃、日本中の街角はまるで光の海だった。ショーウィンドウには、赤と金を基調にしたクリスマスツリーやオーナメントがぎっしりと飾られ、どの店も「今年こそ最高のクリスマスを」という競い合いのような華やかさを見せていた。街路樹には無数の電飾が巻かれ、ひとつひとつの灯りがガラスのように輝いていた。歩道を行き交う人々はみな、おしゃれで、自信に満ちていた。女性たちはベルベットのコートにブーツを合わせ、男性は肩パッドの入ったジャケットを着こなし、手にはデパートの包み紙。どこか浮き立つような音楽が流れ、耳を澄ますと遠くから山下達郎の「クリスマス・イブ」が微かに聞こえてくる。デパートのエントランスでは巨大なツリーが光を放ち、「Merry Christmas」の文字が金色に輝いていた。
　恋人たちは、その前で写真を撮り、少し照れながらプレゼントを交換する。ホテルのラウンジには長蛇の列、レストランでは「クリスマスディナー」の予約が何週間も前から埋まっていた。人々はその夜だけは現実を忘れ、誰もが映画の主人公になった気分で歩いていた。高層ビルの窓から見下ろす夜景は、まるで無数の宝石のよう。遠くでタクシーのテールランプが光の帯を描き、ネオンの輝きが雪の粒に反射して瞬いていた。それは、消費とロマンチックが溶け合った時代。“クリスマスは恋人と過ごす日”という言葉が、まだ新鮮で、そして心のどこかに“特別な夜”という魔法を信じられた時代だった。

クリスマスシーズンに通りのショーウィンドウや店先の装飾は、単なる飾りではなく、街そのものをひとつの舞台に変えていた。光の加減や色の組み合わせ、反射するガラスやクリスタルのきらめき——その一つひとつが、現実の中に小さな幻想を生み出してくれている。
特に日本がバブルのころの街では、ディスプレーが未来を映す鏡のように感じられた。新しいブランド、異国の雰囲気、華やかな照明。それらが「これからの時代はもっと美しく、もっと豊かになる」とささやきかけてくれていた。人々はその夢を信じ、光に引き寄せられるように街を歩いた。
街の灯りの中で、誰もが少しだけ自分の未来を重ね合わせていたのだろう。だから私たちは、ディスプレーの前で立ち止まり、装飾の輝きに胸をときめかせていた。それはモノの美しさだけではなく、**「こんな世界がある」「こんな自分でいたい」**という、心の奥の願いを映し出してくれる光景だった。
——ワクワクした理由は、飾られた街がただの風景ではなく、**“希望を形にした景色”**としてそこに存在していたからなのでしょう。

今もまた人々の心に夢を与える街づくりに期待します。クリスタルデコレーション工房ができるお手伝い…

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